東部カナダ旅行4


カナダ東部にあるメープル街道周辺地図 

6 第5日目…ローレンシャン高原からケベック・シティへ

▼モン・トランブランを出発

 6:00起床、7:00朝食。9:00ホテル前を貸切バスで出発。ケベック・シティまで所要時間は約4時間30分。途中、所々で休憩、メープル街道を走り続け、最終地点のケベック・シティに14:00頃到着した。

▼ヘリテージ・ハイウエイ(伝承の道)とメープル街道

 ケベックシティの東方約900kmに位置するガスべ半島からセント・ローレンス川を遡り、トロントを経て西のナイアガラフォールズまで約1800kmの道が延びている。

 この道は16世紀中頃、フランスの探検家ジャック・カルチェがガスべ半島に上陸したことに始まった。ヨーロッパからの人々が内陸を目指し入植し、沿道の街々が開拓されてきた道であり、カナダでは最も長い歴史をもつ道である。

 つまり、カナダの歴史をたどるルートであり、カナダでは歴史遺産の道と呼ばれている。日本で比較的知られているのは、その内のケベックシティからナイアガラフォールズまで約800kmのエリアである。

 秋が訪れると周辺の樹木が黄色や朱色に色づき始め、深まりゆく秋とともに燃えるような赤色になる。メープル(カエデ)の紅葉が美しいことから、

日本人によって周辺のエリア一帯をメープル街道と名付けたというのが通説である。名前の由来はともあれ、目が覚めんばかりの紅葉は多くの人々に愛されている。

モン・トランブランの外観  ローレンシャン高原からケベック・シティへ 

▼ケベック州の概要

 ケベック州は1534年にフランス人探検家、ジャック・カルディエがアメリカ大陸に到着し、その後1608年にサミュエル・ド・シャンブランによって街づくりが始まった。当時はフランスの植民地として毛皮交易と布教を中心に発展した。

 1759年の英仏戦争後はイギリス領となり、イギリスをはじめアイルランド人、スコットランド人のカナダ移住が始まり、カナダ全土にイギリス領が広まった。

 近年はフランス語圏・英語圏のみならず、中東、アジア、アフリカなど様々な国の人々がケベック州をはじめ他州に移住している。

 広大な領土を誇るケベック州は、カナダで2位の面積(日本の約5倍)を有し、日本のように四季がはっきりしている。

 また、ケベック州の南部の気候は、季節によって気温差が激しく、冬は毎年平均3bくらいの降雪を記録し、夏は湿度が比較的高めで暖かく、秋は晴天の日が多く紅葉が見事である。

 人口もカナダで2位の約790万3千人を有し、州都はケベックシティである。言語はフランス語が約80%を占め公用語になっている。

 ケベック州の経済は、オンタリオ州に次いでカナダ第2の規模で、かつては天然資源が豊富な土地として知られていた。

 最近は国内総生産の70%を占めるサービス産業と先端技術産業を核にして経済構造が変化しつつある。

 また、重要な自由貿易圏の入り口であるケベック州は、ヨーロッパとアメリカへの輸出を中心とした貿易州としても有名であるが、現在は輸出額の3分の1はアメリカ向けである。

★ケベック州議会議事堂

 サン・ルイ通り沿いに白い石造りの州議会議事堂が建っている。この重厚な建物は、1877年にルネッサンス様式を取り入れ建築されたものである。

 正面に立つ青銅像はケベック出身の著名人である。ガイドツアーがあり、豪華な内部を見ることができる。

★サン・ルイ門

 新市街と呼ばれるグランダレ通りから城壁に入るための門。両側にホテルや高級レストランが立ち並ぶグランダレ通りは、プチ・シャンゼリゼ通りというあだながぴったりな雰囲気がある。

★フェアモント・シャトー・フロントナック

 プラス・ダルムの南側に面し、セント・ローレンス川を見下ろす高台に建つホテル。1892年の建築で、緑青色の屋根を持つルネサンス期のシャトースタイルをしており、がっしりとした石造りの建物はケベックの象徴となっている。

 ホテルの名は、フランス植民地時代の総督フロントナック伯爵にあやかって付けられたという。ホテルの前にテラス・デュフランが続いている。

 アッパー・タウンのランドマーク的存在の高級ホテルである。正式には「フェモント・シャトー・フロントナック」という。

 17世紀後半から2世紀かけて完成したフレンチ・ロマネスク様式のホテルで、煉瓦の壁に白い縁飾りの窓、緑色の銅葺き屋根の重さと甘さを兼ね備えた姿は古城のイメージそのもである。

 2世紀にわたって建て増しが続けられたため、高層棟と5棟の低層棟で構成された不思議な構造を持つのが特徴の一つ。

 高級感と歴史的風情を求めて、このホテルに宿泊するためにケベックを訪れる人が後を絶たないという。

 ケベック州議会議事堂  サン・ルイ門を入ると旧市街地
   
丘の上にシャトー・フロントナックが建っている プティ・シャンプレン通りから見上げる

▼ケベック・シティ

 ケベック・シティは、カナダ・ケベック州の州都である。人口は約49万人(国内9位)、州内ではモントリオールに次いで多く、大都市圏内では約71万5千人(国内7位)になる。

 セントローレンス川がダイアモンド岬と対岸のレヴィとに接近した地点で狭まっていることから、先住民アルゴンキン族の言葉で「川が狭くなっているところ」を意味する「ケベック」という名称になった。

 市域内は城壁に囲まれた旧市街地、セントローレンス川沿いのロウワータウン、旧市街地の西側に広がる新市街の3つのエリアに分けられる。

 旧市街地はメキシコ以北で現存する唯一の城郭都市で、1985年にユネスコの世界遺産「ケベック旧市街の歴史地区」に登録された。

 北米で唯一現存する城郭都市であり、街そのものがケベック市民の誇りであり、観光資源でもある。

 城壁に囲まれた旧市街の丘の上を「アッパー・タウン」、丘と川岸の間に位置する地域を「ロウワー・タウン」と呼んでいる。

 
1608年に設立された旧市街は、北米内で最も古い歴史を持つ都市の一つで、2008年に生誕400周年を迎え「北米で最もロマンティックな街」と言われる。

 ケベック・シティの中心地は、城壁で囲まれた旧市街(ヴィユ・ケベック)で、ランドマークのシャトーフロントナックホテルが高台に立っている。

 アメリカ文化の強い北米で植民以来、長く複雑な歴史を持つケベック・シティはフランス植民の名残が最も多く残っていて、公用語はフランス語であり、人々の生活様式や文化面でもフランス文化が強いという独自性を持っている。

 このようにヨーロッパ的な魅力に溢れた古都であるが、北米独特の歴史建築物も至る所で見られる。

 また、古い街並みに沿ってレストラン、ファッションブティック、美術館、教会などがあり、ケベックシティだけでカナダ人の衣食住に関わる文化をすべて体験することができる。

 街の南部を流れているセントローレンス川の川沿いをずっと辿っていくと、あの雄大なナイアガラの滝のある五大湖の一つ、オンタリオ湖に繋がっている。

▼ケベック・シティ観光

 この日、14:00頃ケベック・シティに到着するとレストランで遅めの昼食をとり、市街地を徒歩で散策した。主にロウワー・タウンの繁華街・プティ・シャンプラン地区を見物した。

★プティ・シャンプラン地区

 北米最古の繁華街といわれ、石畳の趣がある通りが続くプティ・シャンプランは、工芸品店、土産物店、ブティックなどが立ち並び、買物やそぞろ歩きにぴったりの地区である。

 45度の急斜面を上下するケーブルカーの一種であるフニキラーの乗り場もあり、アッパー・タウンとロウワー・タウンの中継点でもある。

★ロワイヤル広場と勝利のノートルダム寺院

 石煉瓦造りの勝利のノートルダム寺院が立つ広場は、歴史上交易所として利用されてきた場所である。ルイ14世の胸像もあり、フランス入植を記念する広場ともいえる。

 このプラス・ロワイヤルにあるノートルダム寺院の創設は1647年に遡る。1690年と1711年に英仏間で戦いがあり、2度の戦いに勝利したフランス軍が戦勝を記念して”勝利”の言葉を冠した。

 1795年の英仏の戦いで一部が壊されたものの、後に修復されて今日に至っている。中央の祭壇には城をモチーフにしたもので、入植者を運んできた船の模型などが飾ってある。

繁華街・プティ・シャンプレン VIA鉄道パレ駅(ケベック・シティ中央駅)
勝利のノートルダム寺院 セントローレンス川とフェリー 

★セントローレンス川とフェリーポート

 プティ・シャンプラン通りから、のどかなセント・ローレンス川と停泊中のフェリー風景が見られた。

▼VIA鉄道パレ駅(ケベック・シティ中央駅)からモントリオールへ

 旧市街の城壁の外、北側にVIA駅(パレ駅)があり、ここで貸切バスを下車。

 パレ駅17:35発のVIA鉄道1等車に乗車、モントリオールへ向かう。車窓から紅葉風景を眺めながら車中で夕食。所要時間は約3時間10分。

 20:43頃モントリオール(VIA中央駅)に到着、駅と直結しているモントリオールで最大級の客室数を持つフェアモント・ザ・クイーン・エリザベス・ホテルにチェックイン、636号室に落ち着く。

ザ・クイーン・エリザベス(左)と世界の女王マリア聖堂 ホテルから見たルネ・レベック通り早朝風景
 
▼フェアモント・ザ・クイーン・エリザベス

 市内では最大の客室数を持つ。ドチェスター・スクエア(広場)の向かいという立地の良さ、ビジネス・ツールの充実度が高く、ビジネスマンの利用が多いという。

 3ヵ所のレストランやヘルスクラブをはじめとする諸設備が整い、料金も割安である。モルソン・ショッピングセンターとは地下で連絡している。

 翌日、6:00起床、宿泊ホテル636号室から撮影したルネ・レベック通りの早朝風景である。ホテル前左端に見える建物は世界の女王マリア聖堂であり、その先に見える木立の空間がドチェスター・スクエア(広場)である。

 6:30ホテル1Fレストランで朝食、8:00ホテル前から貸切バスに乗車、市内観光後、ドーバル(ドルバル)国際空港にへ向かう。